医療問題

医師が余る時代はいつ来るか

自分は今医学部の5年生ですが、医師の先生からよく言われるのは、「将来大変だから今のうち楽しんでおきな」という話です。

確かに、病院見学に行ってみても先生たちは毎日大変そうです。当直に急患にオンコール、増える高齢者とコンビニ受診してくる患者に追われて可哀想なくらい働いています。

最近では医師の残業時間を2000時間まで許容しようという話もあり、医者の働き方はブラックだというのは世間の人も良く知っている事実になっています。

医者がブラックな理由の1つに、医者が足りないから、という理由があります。特に地方は本当に足りていないようで、人がいないところは診療制限なんかがかかっています。

ただ、国も今まで無対策だった訳ではなく、平成20年ころから医学部の定員を大幅に増やしてきています。

出典:第2回 医師需要分科会参考資料 医師の需要に関する基礎資料

平成前半の時代は医師が余るといけないと言って医学部の定員をずっと絞っていたようですが、地方医療がヤバイという状況になって平成20年(2009年)から地域枠などの定員をグンと増やしています。ちょっと増やすの遅かったんじゃなかとも思いますが、対策は打ったようです。

そして今、定員を増やしたときの医学生が卒業し始めているので、現在の日本の医師数は順調に増えています。

出典:第19回 医師需要分科会資料1 医師の需給推計について

そして今では、同年代の人口千人あたりの養成医師数が8人まで増えています。

(現役生の年齢)定員18歳人口医師になる割合18歳人口千人あたり養成数
2007年(29歳)7625人1300(千人)170人に1人5.87人
2010年(26歳)8846人1220(千人)138人に1人7.25人
2015年(21歳)9134人1200(千人)131人に1人7.61人
2018年(18歳)9419人1170(千人)124人に1人8.05人

ちなみに、2015年の日本の人口千人あたりの医師数は2.3人で、OECD加盟国の平均は2.8人です。現在の医療状況から見てもまだちょっと医師が足りていないといった感じでしょう。

出典:第2回 医師需要分科会参考資料 医師の需要に関する基礎資料

ただ、現在日本は人口1000人あたり7~8人と大幅に医師を増やしてるので、2026年頃にはOECD加盟国平均の2.8人に届くと思われます。

そして、今の医学部の定員を維持すれば、2028年頃から日本でも医師の供給が追いついて、次第に需要を超えていくと予想されています。

出典:第19回 医師需要分科会資料1 医師の需給推計について

要するに、医師が余り始めるのは、このまま行けば2030年頃だと予想されています。

今医学部5年生で現役の人なら、35歳のときですね。

医師が余るというのも捉え方次第で、弁護士みたいに仕事がなくなるのか、それとも分業が進んでホワイトは職場になっていくのか分かりませんが、今みたいなブラックな環境は多少改善されるかもしれません。

ちなみに、高齢化の進む日本でなんでこんなに早く医療需要が減るのかちょっと疑問に思って調べてみました。

「日本の将来推計人口(平成29年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)を元に作成

75歳以上の人口は2030年ごろまで増え続けて維持すると思われます。65歳以上の人口は2042年にピークを迎えます。ちょうど今の医学生が40後半になるまで高齢者は着実に増え続けるということですね。

ただ、はやりそれ以上に15~64歳の減りが激しいです。 この層の需要の減りを考えると、高齢者の増加を加味しても2030年頃に釣り合うということでしょう。 若い人がどんどんいなくなっています。寂しい限りです。

医者が足りないのは医学部の定員が少ないから、という意見や、医師が都会に偏在しているから、という意見がありますが、 今日挙げた統計データを見てみると、日本の医療現場の問題は全体の医師数よりも医師の偏在の方が問題になってくるということが具体的に分かってきました。

だから今国は医学部の定員を増やすんじゃなくて、地域偏在をどうにかしようとしやっきになっているのでしょう。

今医者として働いていたり、もうすぐ卒業だったりする人は逃げ切れるかも?しれまんせが、下の世代は医師偏在改善の煽りを直撃に食らう世代となるでしょう。

都会で研修、都会で専門医といった道はますます狭くなりそうです。