医師になるためには、大学の医学部医学科に6年間通わなければいけません。
では、医学生がその6年間をどのようなスケジュール・カリキュラムで過ごしているか紹介します。
1年生
医学的な勉強はあまりない
医学部には、国立・私立大学のように経済学部や理学部などの他の学部も一緒にある医学部や、医学部医学科以外には看護科や薬学部などしかない単科大学と呼ばれる医学部もあります。
しかし、どちらにしても1年生の間は教養を主に勉強します。教養とは、数学や物理、科学、英語といった理系科目や、経済学、歴史、社会学といった文系科目などで大学生が身につけておきたい学問を指します。大学によっては医学部キャンパスではなく、全学部合同のキャンパスで授業を行います。
医学的な勉強を少しする大学もありますが、全く無いという大学もあります。医学部を志して入学したものの、医学を全く勉強しないため医学部へのやる気を削がれる人もいます。
部活に入る
医学部というのは少し特殊で、医学部生だけの部活というものがあります。大学にはサッカー部があるけれど、別に医学部サッカー部があるという感じです。そして、医学生の多くが医学部部活に所属します。
これは、医学生の勉強が大変で、試験日程なども他の学部と違うため、ずっと昔からこのような形態になっています。大会も、全国の医学部部活だけで行われており、年に1回、東日本の大学が集まって東医体、西日本の大学が集まって西医体が行われます。
医学部の部活は運動部がメインで、文化系の部活はどこも少ないです。医学部が体育会系と言われる所以はこれです。今まで運動部に入っていなかった人でも運動部に入ります。学年の80%ぐらいが運動部に入り、学年の10〜20%ぐらいの人が、医学部でなく全学の部活・サークルに入ったり、文化系部活のみに入ったり、部活に入らないといった選択肢を取ります。
入学の時期は、新歓といって新入生を部活に勧誘するイベントが行われ、新入生は盛大に勧誘されます。それはもう盛大です。新歓が終わり部活に入ると、1年生は一番下っ端として雑用などをしますが、基本的に可愛がられます。
勉強から開放され遊ぶ人もいる
長く厳しい受験勉強を終え、はじけて遊ぶ人もいます。
また、大学生としてアルバイトも始める人が多く、医学部生は塾の講師や家庭教師をやる人が大半です。医学部生は優遇されるので条件が良ければ家庭教師で時給5000円以上で働く人なんかもいます。
一方で、社会経験を積もうと、飲食や販売のアルバイトをする人たちもいます。
2年生
医学の勉強が始まる
2年生になると、本格的に医学の勉強が始まります。最初に勉強するのは、基礎医学といわれる分野です。
基礎医学とは、細胞がどのような働きをするかを学ぶ細胞生物学、身体でどのような化学反応が起こっているか学ぶ生化学、身体がどうやって機能しているか学ぶ生理学、身体の構造を学ぶ解剖学などを指します。
これらは覚える内容がとても多く、また複雑なので勉強が大変です。教科書も分厚くて1冊1万円くらいします。先輩から借りる人、自分で買う人、買わずに臨む人、様々な人がいます。試験前は受験期さながら1日中勉強することになります。
大学によってはこれら基礎医学の試験で留年する人たちが出てきます。医学部は基本的に1つでも単位を落とすと留年なので、厳しい大学だと学年の10~20%ほどが留年します。勉強的に2年生が一番苦しかったという人も多いです。
また、人体解剖の実習も2年生のときにあります。遺体を解剖するという経験で、自分は医学部にいるんだということを少し実感します。
部活に精を出す人、自分のやりたいことをやる人
2年生となると他学部との交流もほとんどなくなり、医学部生同士でつるむことが多くなります。特に部活に入っている人は、週に3,4回は部活に行くので、部活の人たちとばかりつるむことが多くなります。そして部活に精を出します。医学部が閉鎖的と言われるのは、このあたりが関係しています。
医学生は勉強に部活、アルバイトを全てこなさなければならないので、1週間フルで忙しいという人が多いです。医学部が忙しいと言われる所以はこれです。進級条件が厳しい大学では、部活と勉強の両立が出来ず、留年する人が続出します。
一方で、部活に入ったが辞めた人や、部活に入らなかった人は、大学生として自分のやりたいことをします。例えば、学生団体に入ったり、習い事をしたり、アルバイトをしたり、趣味を極めたりといったことです。
一度しかない学生時代を皆精一杯生きます。
3年生
基礎医学から臨床医学へ
3年生になると、基礎医学を終え、臨床医学を勉強していきます。循環器や消化器、小児科、整形外科、皮膚科など、科ごとに別れてそれぞれ勉強していきます。基本的に全ての科を勉強していくことになります。病気が見えるなどの臨床系の教科書もこの辺りで購入します。
ここでやっと医学らしい勉強が始まったと感じます。1〜2年生の頃は遊んで真面目に勉強していなかった人も少しはやる気になります。
ただし、大学の授業は大学病院の医師が片手間に担当していることが多いので、あまり授業が上手い訳ではなく、淡々とスライドを読み上げて終わるということも多いです。なので授業がとても面白いと感じることは少ないでしょう。
また、臨床医学は基礎医学をに比べ、過去問使い回しの試験が多いです(忙しい医師は試験問題を熱心に作ったりはしないよう?)。試験自体は簡単ということもあり、引き続き大学生活を謳歌する人も多いです。
部活では責任感のある立場に
3年生になると部活で幹部となって運営をしていく人たちも出てきます。幹部といっても上には4〜6年生がいる訳で、上と下に挟まれ色々と悩みながら過ごす人もいます。
部活に試験にアルバイトと、引き続き忙しい生活を送ります。
4年生
臨床実習に入る前の準備
4年生では、引き続き臨床医学の勉強をしながら、病棟に実習に出るための準備を始めます。
そのために、OSCE(オスキー)と呼ばれる実技試験や、CBT(シービーティー)と呼ばれる今まで勉強してきた内容の総まとめテストを受けることになります。これらは全国共通のテストで、これに合格することで病棟で実習をすることができます。
久々に受ける正式な試験なので、これまで遊んでいた人も、真面目に勉強し始めます。ここである程度しっかりと勉強しておくことで、病棟での実習に備えます。
早い大学では、4年生の後期から病棟での実習(臨床実習)に入ることになります。白衣を来たStudent Doctorとしてミニ医者デビューを果たします。
他学部の人は就職へ
一緒に入学した他学部の知り合いなどは、卒業し就職していきます。自分ももう社会に出る頃なんだなと実感することでしょう。
白衣を着て実習をすることで、少しずづ自分も医師になって社会に出ていくのだという気持ちが湧いてきます。
部活に精を出す日々
部活に入っている人は、初心者で始めていてもそれなりに強くなるので、大会で活躍する人も結構います。そして、そろそろ部活に飽きてきたなという人も出てくる頃です。
5年生
病棟で毎日実習 ポリクリ
5年生は基本的に1年間、病棟で実習をすることになります。この実習のことをポリクリと呼びます。それぞれの科を、1週間ないは2週間ごとにそれぞれローテンションしていき、全ての科を回ります。
実習は少人数のグループで回っていくことになります。1年間同じグループずっと過ごすことになるので、実習班でどんな人と一緒になるかで、どんな1年になるかが別れます。すごく中のいい班、普通な班、仲の悪くなる班それぞれあります。
ただ、どんな人と一緒になっても、皆助け合っていきます。
実習をしながら、今まで習ってきたことを間近に体験し、自分が将来どの科に進みたいかなどをぼんやりと考えます。
また、6年生で受ける国家試験に向けて、少しずつ勉強を始めていくことになります。
部活を続けるか、引退するか
5年生以降も部活を続けるかはその部活の伝統によります。続ける人、辞めたくても辞められない人、4年生で引退する人で別れます。結構続ける人は多いです。
部活を続ける人は後輩もたくさん出来ていると思うので、よく慕われることでしょう。部活を辞める人は、自分の将来に向かって早めに準備に入ります。
6年生
医師国家試験に向けての勉強
6年生は、最後にある医師国家試験に合格するために1年間勉強に励むことになります。覚えるべき知識量はとんでもない量があり、それを地道に暗記していきます。
医師国家試験は合格率90%ですが、逆に言うと10%は必ず落ちるということなので、皆必死に勉強します。
病棟実習は6年生の前半で終わる大学が多いと思います。残りの半年はほぼ大学に行かなくて良くなります。大学によっては自習室を提供してくれる大学もあり、皆自習室にこもって勉強します。
初期研修病院を決める
6年生では、医師国家試験の勉強と同時に、卒業後どの病院で働くかを決めないといけません。
初期研修病院は自分の希望する地域、病院が選べるので、その病院に見学に行き、採用試験を受けます。そしてマッチングと言われる仕組みで、いくつか選んだ行きたい病院の中から研修先となる病院が決まります。
初期研修では、自分の大学にそのまま残る人や、大学病院ではない外の病院を選ぶ人、遠くの病院を選ぶ人など様々です。地元から遠くの大学に来ている人などは、ここで地元に帰る選択をする人たちもいます。
部活・バイトについて
国家試験が近づくにつれ、部活を辞めていく人が増えていきます。夏の大会で引退というパターンが多いです。
アルバイトに関しては、割の良い家庭教師や塾講師以外のバイトは辞める人が多いですが、何らか少しやっているという人がそこそこいます。
卒業 医師へ
医師国家試験終了後
国家試験は6年生終わりの2月にあり、それが終わると残りの1ヶ月半は完全フリーになります。国家試験が終わるとすぐに皆卒業旅行に出かけます。コロナ流行前は海外に行く人が多かったです。試験勉強から開放され、皆思い思いに最後の長期休暇を楽しみます。
3月には国家試験の合格発表があり、合格した人は初期研修医になるため準備を始めます。提出する書類も多く、新生活、引っ越しの準備に追われます。医師になることに期待を寄せながら、4月の入職日を待ちます。
最後に
以上が医学部の6年間の大まかなスケジュールです。
大半の医学生が、試験・部活・アルバイトに追われる日々を送るのではないでしょうか。充実した日々を過ごすことは間違いありません。
ぜひ、参考にして下さい。
